老後 遺言書5407

老後 遺言書5407

アメリカと日本のあいだの「重大な密約」に対し、元首相が言い放っていた「衝撃の一言」

~良いことも悪いこともいろいろ禍根を残したが統一教会が70年もたってこれほどの禍根になるなど考えたのだろうか~

~あまり頭の良くない印象~

 

 アメリカによる支配はなぜつづくのか?   第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていた国々は、そのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めている。それにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは?   累計15万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む!  【写真】なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」  ※本記事は2018年に刊行された矢部宏治『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』から抜粋・編集したものです。

兄(岸信介)の結んだ密約を、「よくは知らん」といった弟(佐藤栄作)

 岸信介と佐藤栄作という、日本の戦後史を代表するふたりの政治家がいます。  このふたりはそれぞれ安保改定(1960年)と沖縄返還(1972年)という巨大プロジェクトを手がけ、そのときアメリカとのあいだで重大な密約を結んだことでも知られています。そしてみなさんよくご存じのとおり、このふたりは名字こそちがいますが、実の兄弟です。  その佐藤栄作が、兄である岸信介が安保改定のときに結んだ密約について、どういっていたか。なんと、  「どうも岸内閣のとき、そういうものが若干あったらしいんだな。よくは知らんけど」  といっていたのです! (1969年10月27日)  これはほかでもない、佐藤が沖縄返還の秘密交渉を任せた、当時39歳の国際政治学者、若泉敬氏による証言です(『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』文藝春秋)。  佐藤はまた、自分が訪米してニクソン大統領とサインを交わすことになった「沖縄・核密約」(=有事における沖縄への核兵器の再配備を認めた密約:→【資料1】)についても、若泉からその機密の保持にはくれぐれも気をつけてくださいと念を押されたときに、  「それは大丈夫だよ。愛知〔揆一・外務大臣〕にも言わんから。〔密約文書を〕破ったっていいんだ。一切、〔誰にも〕言わん」  と、信じがたい発言をして、若泉を驚かせています(同年11月6日)。 ———- 【資料1】沖縄への核の再持ち込み密約 【若泉がキッシンジャーから手渡された「密約の原案」(*)(1969年9月30日)】 極秘 返還後の核作戦を支援するための沖縄の使用に関する最小限の必要事項 1.緊急事態に際し、事前通告をもって核兵器を再び持ちこむこと、および通過させる権利 2.現存する左記の核貯蔵地をいつでも使用できる状態に維持し、かつ緊急事態に際しては活用すること。 嘉手納 辺野古 那覇空軍基地 那覇空軍施設 および現存する3つのナイキ・ハーキュリーズ基地〔=米陸軍のミサイル基地〕 (*)最終的にはこの原案の内容を「共同声明についての合意議事録」(まずニクソンが右の内容を述べ、それを佐藤が了承するというやりとりの形にした文書)として書き直し、それに両首脳が 1969年11月19日の首脳会談の席上、大統領執務室に接した小部屋でサインをしました。事前の打ち合わせではイニシャルだけのサインの予定でしたが、実際にはフルネームでサインとなりました(『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』) ———-  さらにこのとき佐藤は、 「要するに君、これは肚だよ」といったとも若泉は書いています。  【いったいこのとき佐藤は、自分がこれからアメリカでサインする予定になっている密 約文書について、どのような認識を持っていたのでしょうか?】

なぜまちがった認識を、首相が持ってしまったのか

 この会話を雑誌『文藝春秋』で取り上げた、密約研究のパイオニアのひとりであるジャーナリストの春名幹男さんは、  【つまり、佐藤首相は、「密約」を、総理大臣の個人的責任で窮地を凌ぐため腹芸で交わすものだと認識していた】そのため、外務大臣にも伝えていなかった。しかも、後継首相にも「密約」を引き継いでいない。これは安保改定時に(略)〔重大な密約を〕結んだ岸首相も同様であった。日本側〔=岸と佐藤〕は密約は個人対個人のものと捉えていたのである」(「日米密約 岸・佐藤の裏切り」『文藝春秋』2008年7月号)  と述べています。  「えっ、本当ですか」と驚いてしまいますよね。密約は「個人と個人が交わすものだから、あとの政権に引き継がなくていい」と考えていたというのです。  でも、そんな勝手なとらえ方が、はたしてアメリカに通用するのでしょうか。  「しかし、アメリカは「密約」に対し、まったく違う認識を持っていた。「密約」は決して大統領の個人的判断などではなく、あくまで組織として機関決定し、政府対政府が取り交わすものであり、政権が変わっても受け継がれる、と考えているのである」(同前)  それはそうですよね。やっぱり通用しないわけです(笑)。  もちろんこれは、アメリカ側の認識が完全に正しいのです。国家の代表と代表が、互いに文書を交わして、そこにサインまでしているのですから、国際法上、これは通常の 条約や協定と同じように両国を拘束するというのが国際的な常識です(→『知ってはいけない2』280ページ)。  それなのになぜ、岸や佐藤といった戦後日本を代表する政治家たちは、そのような完全にまちがった認識を持ってしまったのでしょうか。

「日本政府の最高レベルに次のことを伝えよ」

そもそも戦後の日米関係というこの圧倒的な従属関係において、過去に自国の首相がサインした文書をアメリカ側から示されたら、日本の政治家や官僚たちは、それ以上抵抗できなくなるに決まっています。その密約について、それまでなにも知らされていなかったとしたら、なおのことでしょう。  法的にも現実問題としても、効力はもちろんある。首相本人が「破って捨てれば、それでいい」というような話では、まったくないのです。  実際、日本の交渉担当者が過去の密約について理解していないと判断した場合、アメリカ側は国務長官〔=日本でいう外務大臣〕が東京のアメリカ大使館にあてて、  「日本政府の最高レベルに次のこと〔=過去の密約の内容〕を伝えよ」  という電報を打ち、その後、抗議された日本の大臣があわてて内密に謝罪するといったことが何度も起きているのです。(*1)  春名さんが詳しく解説されているように、アメリカは他国と条約や協定を結ぶにあたって、非常に論理的な戦略のもとに交渉を積み重ねていきます。  そのなかで、さまざまな事情によって条約や協定、付属文書に明記できない内容については、「公開しない」という約束のもとに別の文書をつくり、正式な取り決めとしてそこにサインをする。しかし30年たったら、基本的に公開する。それがアメリカ政府の考える密約なわけです。  「〔岸や佐藤が〕密約は首相個人の責任で交わしたつもりだったのに対し、米側は組密約を機関決定し、公表はされないが有効な国家間の取り決めとして、政権が変わっても引き継いでいく。【この両国の埋め難い密約観の違いが、時に、日米間の深刻な亀裂となってあらわれる】(同前)

【ようするにこの両国の埋めがたい密約感の違いを正式に立て直さなければならない】要するにアメリカの命令で日本が軍国主義になるのは嫌。

阿部讃歌百八十六節十章

【いったいこのとき佐藤は、自分がこれからアメリカでサインする予定になっている密 約文書について、どのような認識を持っていたのでしょうか?】

【つまり、佐藤首相は、「密約」を、総理大臣の個人的責任で窮地を凌ぐため腹芸で交わすものだと認識していた】

【この両国の埋め難い密約観の違いが、時に、日米間の深刻な亀裂となってあらわれる】

【ようするにこの両国の埋めがたい密約感の違いを正式に立て直さなければならない】

(黙)

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